BeDesignFPGA、組込システムハードウェア全般の受託開発

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かつて、国内の疑似交換機のメーカは、ほぼ三社の寡占状態でした。疑似交換機の利用シーンが、端末メーカの製品試験と、通信事業者やシステムインテグレータの技術試験程度で、市場規模が年間十億円前後とニッチであったためです。
有線のテレコムインターフェースは、1980年代末にNTTがサービスを始めたISDN(INSネット)のBRI(Basic Rate Interface)、PRI(Primary Rate Interface)、旧来の二線式アナログインターフェースのSLT(Single Line Telephone)の三種です。DDX網というデータ通信網もありましたが、ユーザインターフェースはV.28(RS232)やV.11(RS422)等であり、専用の疑似交換機の需要はありませんでした。(DDX網は既にサービスを終了しています)
ISDN、アナログ網とも無線やIP網に移行してきており、新規の端末は少なく、NTTのサービスも縮小しつつあります。疑似交換機市場も縮小し、私の居たメーカを含め二社は姿を消し、残りのメーカも他分野にシフトしています。現在は更にニッチな市場となり、以前の寡占三社以外のいくつかのメーカが、簡易型の疑似交換機を製造しています。

ほぼ全ての疑似交換機は、単一のCPUが全回線の呼制御と交換制御をおこなっています。このため、16回線を超えるインターフェースを持つ疑似交換機は存在しませんでした。アナログとディジタル両方の回線インターフェースを持つものも存在しませんでした。物理層制御やパケット交換制御が必要なディジタル回線と、煩雑なサービストーンやリンガ制御が必要なアナログ回線が混在するソフトウェアのプロセスが、結構忙しいのです。
私が所属していたメーカで開発したMicroNetは、通信事業者が提供する、回線交換、パケット交換、専用線接続、代表番号、発番号通知、公衆電話、国際接続等、様々なサービスをシームレスにエミュレーションするための、疑似交換機の最終形態です。
MicrnoNetのバックプレーンには、MPU(Main Processor Unit)専用スロットと、最大12の回線モジュール用スロットがあり、各回線モジュールとMPUに2.048MbpsのPCMハイウェイがpoint-pointで接続されます。更に全ユニットがトークン・パッシングLANで接続されます。
レイヤ2までは各回線ユニットが処理します。レイヤ3はトークン・パッシングLANを経由してMPUが処理します。音声、回線交換、パケット交換のペイロード・データはPCMハイウェイを経由して、MPU内ののタイムスイッチにより必要なユニットに振り分けられます。
サービストーン等もMPU内にジェネレータを持っており、タイムスイッチにより必要なタイムスロットに出力されます。




MPU(Main Processor Unit)は、各回線ユニットのレイヤ3(呼制御)情報から、回線交換接続、パケットデータ接続をします。
16本のPCMタイム・スイッチがあり、各回線インターフェース・ユニットに1本ずつ接続されます。
残り4本のハイウェイには、音声回線交換時に使用される、PBトーン(DTMF)、各国規格のビジートーン、ダイヤルトーン、リングバックトーン、「無音」等が接続されています。
タイムスイッチの切り替えは、トークン・パッシングLAN経由で各回線ユニットから取得したレイヤ3情報により行います。必要に応じて、各回線の音声チャネルにサービス・トーンが送出されます。タイム・スイッチには会議機能もあり、網サービスの多者通話もエミュレートします。
各回線ユニットの設定や、回線状態の監視等は、タッチパネル、および、シリアル・インターフェースに接続されたPC上の専用ソフトによって可能です。専用ソフトでは、各回線の番号計画や、専用線の構成変更がおこなえます。更に、オプションによりEthernetで専用ソフトを接続することができます。




SLTU(Single Line Telephone Unit)は、4回線のアナログ公衆回線インターフェース・ユニットです。
各回線は、回線給電、リンガ機能を持った高電圧SLIC、2線変換機能を持ったハイブリッドCODECとFPGAを介してPCMハイウェイに接続されます。
FPGAにはV.23モデムが接続され、ナンバーディスプレイやモデムダイヤルイン・サービスにも対応します。PBダイヤルインには、MPU内のPBトーンが使用されます。




BRIU(Basic Rate Interfae Unit)は、4回線のISDN基本インターフェース回線・ユニットです。
基本インターフェースI.430のT参照点をエミュレートします。MPUからの設定により、専用線(I.430a)もサポートします。
BRIのレイヤ1制御は、T点インターフェースLSIによりおこなわれます。Dch,Bchデータは、FPGAを介してPowerQUICCのSCCに接続され、パケットの交換の処理をおこないます。回線交換時には、BchはPCMハイウェイに接続されます。




PRIU(Primary Rate Interface Unit)は、1回線のISND一次群インターフェース回線・ユニットです。
一次群インターフェースI.431のT参照点をエミュレートします。MPUからの設定により、専用線(I.431a)もサポートします。
PRIのレイヤ1制御は、T点インターフェースLSIによりおこなわれます。D/Bch(64kbs)、H0ch(384kbps)、H11ch(1.536Mpbs)、H12ch(2.048Mbps)と、多彩なインターフェースを構成できます。各chデータは、BRIU同様FPGA経由でPowerQUICCのSCC、またはPCMハイウェイに接続されます。
PRIは、呼制御のDchが異なる回線(別のBRIインターフェース等)にある場合もあり、MPUの設定により、回線を跨いだ柔軟なインターフェース構成を取れようになっています。




他ユニット
装置のインターフェース構成は、スケーラブルで柔軟に構成できることから、PCMハイウェイ上に、μ-A則変換(国際間音声接続のエミュレート)ユニット、回線障害のエミュレートユニット等のオプション機能追加することができます。


開発担当部位
装置アーキティクチャ設計、回路・FPGA設計、BIST(Bilt-in Self Test)・Bootloaderプログラム設計をしました。
タッチパネルは組み込み用パネルモジュール、電源は通信機器用電源を得意とするメーカーの特注品を使用しています。
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